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Y-NOTE by KENTMIYAZAKI

kentyano.exblog.jp
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2010年 11月 24日

Y-baseの話

Y-Base がようやく完成し、後は外柵や作庭のみとなりました。
この家を見ると、土地探しの条件を少し変えてもいいかなと思うはずです。
今回のプロジェクト
【敷地条件と 家族が豊かになる住宅の条件が別である事の解答を出したケントらしい住宅】と言えます。

先ず、この45坪の土地は 間口わずか7.8M、奥行き20Mの東西に長――イ形状で
売りに出したけど 長く全然売れなかった土地でした。
なぜなら元々古いアパートが建ち並び、隣地の東南北 三方向とも敷地境界ぎりぎりにまで二階建が建てられ、結構な圧迫感を放つ上、 南からの光は一見望むべくもない状況なのです。
唯一交通量の多い西側の道路からは道を隔てて4階建て病院官舎の垣根の緑が見えるのが救いなくらい。一般的には全く興味もわかない土地だったでしょう。

得られるのは、その緑と西日・東西風・パッシブソーラーには全く向かない条件。

『ならば逆説的パッシブソーラー?ハウスを造ろう。』
得られない太陽の恩恵を補うために内部熱を大切にしよう。
こんな土地でも降り注ぐ天空からの太陽熱は利用しよう。
でもサーマルルーフによって室内への熱は遮熱して小屋裏も広がりを演出する空間構成の一部として有効に利用しよう。
元々、望めない一階の太陽光。 
ならば、京都の町屋のような『通り庭』を造り、風の心地好さを感じる空間とし、
二階の開放感を演出するためのデザインに活かそう。
しかも、この空間はだれもが懐かしいと感じ、いつでも来訪者を迎える空間として
この空間こそ 緊張感を持って造ろう。
手の届きそうな燐家の窓。 目線を隠し 光を取り入れる窓としよう。
何より生活動線を犠牲にしない、 【狭いからしょうがないと言わせない】空間を造ろう。
他にも、二階の木壁の浴室、吹き抜けのリビング、吹き抜け一面の高さ3.8Mの本棚と、中空の渡り廊下、鉄製手摺、完全オリジナルのオークのキッチンには 業務用ガスコンロ と IH調理器
などなど、生活を楽しむ為のいろんなノウハウと挑戦も満載。
特に木製デッキを望むリビングから眺める借景の緑は【敷地の狭さ】や【南からの光が入らない家】である事を完全に忘れさせてくれます。
結果、説明しなければこの家がそれだけのハンディを持っている事など微塵も感じない家となりました。

加えて この家の挑戦はデザインだけではありません。
テレンス・コンラン卿の【構造の安定が計られなければデザインを楽しむことはできない】の言葉通り
宮崎初の 自社設計による2X4木造3階建てで、最高耐震等級の『3』を取得した【長期優良認定住宅】なのです。
2X4のリーディングカンパニー建図宮崎の設計力・施工技術の高さを結集しました。
もちろん、市街地でも安心の 【省令準耐火建築仕様】で【高気密高断熱】
【省エネルギー性能】も最高等級『4』を取得。この家全体を14畳用のクーラーで補い 同じ容量の床暖房で冬を過ごすという、試み。 これも正当なる【パッシブソーラー住宅】です。

豊かな家を造る為に土地が絶対でない事を証明する家が出来たと思います。
(この土地の取得費は清水町でありながらハンディがある分 1050万円 でした)
是非この機会にゆっくりとご覧ください。

㈱建図宮崎
建築設計・意匠設計 矢野崇幸

by kent_yano | 2010-11-24 10:51 | 住宅建築家「Y」のノート


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