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Y-NOTE by KENTMIYAZAKI

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2009年 12月 28日

エコ住宅 と 壁体内結露 と 構造瑕疵

近年環境問題がクローズアップされ、住宅にも消費エネルギーを削減するエコ住宅が求められています。
政府も太陽光発電の普及とともに省エネルギー性能の向上にも力が入れられています。

そんな中、宮崎の一般在来工法の高気密高断熱住宅で【床下に水が溜っていた】 という事故が起きたと聞き 危惧していたことが現実になったと思いました。

瑕疵を意識的につくるものはいません。ほとんどが施工者の認識不足から無意識におこしてしまうのです。

この事故も、省エネルギー性能に優れた いい家をつくろうとする気持ちから起きた無意識の瑕疵だろうと思います。

5年前でしたか、大手の建材メーカーが木造住宅に高断熱構造パネルを使った高性能在来壁工法として全国に営業展開しようとわが社にも来られました。
意気揚々と説明する営業マンに、採用するどころか、「この工法では壁体内結露を起こしますよ」と断言した事を思い出します。その時の営業マンはこの田舎建築士が!という思いだったろうと思います。
数年たってこの全国的な大手メーカーは私の予想通りの瑕疵を起こし、200件以上の瑕疵訴訟を起こされました。

実は省エネルギー性能に優れた住宅をつくるために高気密・高断熱化工事を丁寧に施工しようとすればするほど壁体内結露の問題に直面します。

30年前、工法上、構造用合板で気密化された2X4住宅もそうでした。
当時の 一般在来工法しか経験のないメーカーや工務店は
空気を留めるとどうなるかなど気にする由もなく
【断熱や気密】が、空気中の【湿度】とどのように因果するかなど知るすべもなかったのです。 

結果多くの伝説を産むことになります。

いわく
「2X4工法は湿気の多い日本の風土に合わないから木材が腐る」
「グラスウール断熱材は湿気で垂れ下がり カビが生える」
この批判もまた、知識不足な批判でしかありません。

問題はどこにあったのか?
それは【省エネルギー性能】と【水蒸気】の存在と関係を意識しないで
施工してしまったことが原因です。

【高気密化工事】には
省エネルギー性能に大きく貢献する【外気の侵入を遮る気密】 
と 
防湿を目的とした【室内の空気を遮る気密】
があります。

室内側の空気を遮る気密層=これを防湿層=ベーパーバリア と呼びます。

空気中の水蒸気量は普段【湿度○○%】などと表され、常に温度と密接な関係にあります。
単純に0℃の6畳間の部屋に空気は約3.7kgあります。この時 湿度55%と言えば 2リットル の水が含まれていることになります。

この空気中の2リットルの水は温度差が ±5 発生するところで水滴となって姿を現します。

実は今年施行された 長期優良住宅の認定基準から【気密性能の確保】が外されていました。
気密性を問わなくなった理由として、
「気密は各社それぞれのノウハウである程度施工されているでしょう(?)シックハウスの法律上 1時間に0.5回の換気を明記してあるので気密を厳格化しても(省エネルギー性能評価では)意味ないでしょう。」
という答えでした。これは、省エネルギー性能だけを注視するとそうかもしれません。しかし、それと不可分の関係である【温度と水蒸気】の関係【構造瑕疵】の可能性に対する大きな認識の欠落です。

先日発行された日経ホームビルダーという専門誌にも「外貼り断熱は壁体内結露しない」と捉えかねない表現になっていましたが、充填断熱でも外貼り断熱でも 水蒸気を絶縁するための処置=防湿層(ベーパーバリア)を連続してどこかに処置しなければ水蒸気を含んだ滞留空気が温度差を感知した瞬間、壁体内結露は起こりえます。

30年前、2X4ビルダーが経験した事故を忘れてしまったのでしょうか・・・。
壁体内結露は目に見えないところで木材を腐らせ、構造をむしばみます。

今後『長期優良住宅の標準仕様書』という錦の旗の下、多くのハウスメーカー・工務店が気密化工事を省エネルギー性能上の問題だけと勘違いし、室内側防湿工事をせずに高断熱高気密住宅を造っていったら、数年後多くの瑕疵を発生させていくのではないかと改めて危惧しています。
 

by kent_yano | 2009-12-28 12:05 | 住宅建築家「Y」のノート


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