Y-NOTE by KENTMIYAZAKI

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2006年 07月 11日

現代建築紀行VOL.5福岡大名編 「時間の重みを貯える美容室」

現代建築紀行VOL.5福岡大名編 「時間の重みを貯える美容室」

先日福岡にスタッフ全員で研修に行ってきました。そのとき古くからの城下町の風景が今も残る大名(地名)で たまたま見つけた中村美容室という美容院の完成度の高さに驚き ずうずうしくも中を見せていただきました。
現代表の西田さん
「偉大でハイカラな祖母中村静江ともし一緒に仕事ができるならこうしたい、こうすれば気に入ってくれるのではという思いからつくった」との弁。
初代は髪結いの名残があった当時 赤坂で創業し美容学校で講師を勤めるなど、今で言うカリスマ美容師。そんなハイカラで偉大なお婆サマがデザインコンセプトなんてかっこよすぎ!です。 お店の正面に鎮座するのは骨董品やさんでしかお目にかかれないような古くてモダンな美容チェアー。なんと初代の時から使ってる年代物というからおどろきです。 元々アンティークがお好きだった西田さん
「時間の経過によって生まれた雰囲気にドラマを感じる」とは玄人の感性です。
全体の調度品もそれに合わせ西田さんご自身がアメリカの東海岸まで買い付けに行ったほどの懲りように一同感嘆の声でした。(西海岸ではダメだったところにより深いこだわりを感じます)そのこだわりはトイレの中やシャンプー台、レジ台にいたるまでの徹底振り。
【塗り壁】と【板金の天井】について
「クラシックなデザインをシルバーでスパイス(ファンキーな感じ)を効かせ 色と質感のコントラストを出して まさに中村美容室!を表現したかった」そうです。
ただ、「塗り壁がプロに任せてきれいになりすぎた」との微妙な不満もこれならわかります。
最近、 散々自分たちの欲するままに設計してきた日本の著名な現代建築家が「サスティナブルデザイン」であるとか「街並みに配慮して」などと称して設計しはじめました。
しかし、表参道ヒルズのように言葉ばかりでどうもピントがずれているように感じます。僕たちは、新装美容室=モダンデザインの急先鋒という潮流の中で あえてこのデザインで新装した中村美容室の西田さんが【10年間住んでいたニューヨークから3年前に帰国したばかり】だということに注目しなければなりません。
それは【長く愛されてきた老舗の暖簾】と、海外生活経験者の感性を持って【それを守り発展させていく】為の選択の答えはこのデザインだったことに現代日本の建築に対するアンチテーゼを見る思いがするからです。
この中村美容室の西田さんの《お婆様と一緒に働くなら》という思いには《これまで》と《これからもこの街で暮らす人間》としての使命を感じます。いかに街に溶け込むかを 敏感に そして誠実に感じ取って出した答えだと感じます。街並みを維持する事は街の魅力を高め、そこに住む人たちを幸せにします。この大名には西田さんのような 帰属意識をもった建築主が多いように思いこの街がとっても好きになりました。私のようにこの町を好きだという人がたくさんできれば、需要が産まれ、街の資産価値が上がります。新宿化していく銀座の街並みなど、資本主義の前に失われていく街の風景はたくさんあります。それに勝てるのは住民同士の帰属意識でしかありません。
新築したばかりの西田さんは
「私の中で完成するのは50年後。時間を経過したこのビルを早く見てみたい。」
ともおっしゃいました。
海外で時間の経過によって生まれる【街の熟成】という魅力を存分に感じてきた人間ならではの意見だと思います。
このような感性を持った人間がもっともっと増えれば又違った日本の魅力になるはずなのですが、、、。
私としてはこの大名にマツモトキヨシが来ない事をまたこれからも魅力的な街が維持されていくことを切に願います。
最後に突然の訪問にもいやな顔一つせづお付き合いいただきました西田様。本当にありがとうございました。大変いい勉強になりました。今度福岡出張の際は焼酎もってよらせていただきま~す。f0189527_135401.jpgf0189527_13543955.jpgf0189527_13551483.jpg
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by kent_yano | 2006-07-11 13:52 | 住宅建築家「Y」のノート