Y-NOTE by KENTMIYAZAKI

kentyano.exblog.jp
ブログトップ

<   2018年 05月 ( 1 )   > この月の画像一覧


2018年 05月 15日

地震に自信あります?


設計者に問いたい。
「自分が設計した建物が熊本地震でも壊れない自信がありますか?」

皆、不安なことだろうと思う。特に木造のベテランほど不安な筈。
何故なら、木造の耐震基準は1950年から義務化され、1971年(昭和46年)・1981年(昭和56年)・2000年(平成12年)と、
地震があるたびに構造基準の見直しがされてきたからだ

それまで正しいとされてきたことが、宮城沖地震で否定され、修正し安全だと思った建物が阪神淡路大震災で被害を受け、また修正され、
東日本大震災、熊本地震と続き被害が発生し、その度に専門家が出てきて「想定外の地震でした」という。
本当に想定外だったのか?

2X4は1940年代のアメリカで産官学一体となって「木造住宅の地震耐力」を科学し確立された。
日本では1971年(昭和46年)当時国交省の戸谷英世氏らが日本人誰もが強い木造住宅に住めるように、
アメリカの技術を研究していた工法を一般に使えるようオープン化したのが始まり。

以来この工法の基本的な構造規定(告示1540号)は変わっていない。
それどころか、この約半世紀の間に起きた大きな地震のなか被災地に建つ
2X4住宅の97%の家が実質的な被害無く生活を続けているという。
(4分後くらい)

この結果は 2X4住宅が優位で 在来住宅が不利だ という話ではない。
木造建築の耐震性は面構造(モノコック構造)で捕らえることが有利ということの証明である。
そして、その方法も1950年(昭和46年)から確立していたということが重要なのだ。
あまり知られていないが、阪神震災以降、特に姉歯構造事件以降、構造のチェックは消費者の気持ちとは逆行するように設計者個人に一任された。
性能評価など特別な依頼がなければ構造に関して公的な審査はなく、特に一般木造住宅は設計者に一任されている。(4号建築物といいます)
しかし期待を裏切るようだが、大学で学んだ設計者でさえ、木造建築はあまり勉強していない。(機会が少ない・教える人も少ない)
大黒柱がなぜ太いか?理由も分からないまま、太い柱の神話が今でも通る。
(自重が重くなると台風には有利だが地震には不利なのだ)
公的設計審査の段階でも、構造チェックがないのは昔からだけど、最近は壁量チェックさえも返されることも多い。
現場でも構造はプレカット屋さんにまかせっきりで、大工さんもタッチしないまま建て方始まって棟が上がることも少なくない。
極端だが、不動産屋さんの営業マンが書いた間取りのまま、家が建ってしまう時代なのだ。

昭和46年の工法オープン化当時、2X4工法は輸入工法として扱われ、国内産業保護の観点から木材の仕様規定と共に、
施工規定も細かく明文化された。
使用する木材も、節の数や年輪などをチェックし、木材自体の樹種強度をJIS認定材料しか使えず、20年後の木材の沈みやそりまで考慮した仕様規定をつくり、
釘一本の打ち込み間隔・方向による強度軽減率まで規定し、法律として遵守を義務付けられている。
当時はオーバースペックではないか?とか、厳しすぎる!といわれた2X4構造規定が逆に品質を担保し、施工精度を厳格にし、耐震性能の余力を持って、
その後の多くの震災に負けなかったと言える。

僕はここがすごいことだと思っている。実際、法律は市場の自由を守るために「これ以上」という最低ラインを規定するので、
どうしても最低想定以上の自然災害を担保することができない。
故に基準法を守っていれば安全という意味ではない。
「せめてこれくらいは守ってくださいね。」というのが基準法の考え方だ。
それに対して、「このルールを守ってつくれば倒れなかった」という実績を持つ工法がオープン化されている。
木構造の対極にとらえられて来た在来工法だが、近年2X4工法化していることは強く感じる。
戸谷さんも仰るとおり「この告示は強い木造住宅をつくるために研究していたもの」なのだから、
我々設計者は2X4工法と一般在来工法との比較研究を広く論議するべきだと思う。
地盤の問題や建築地の用件など絶対のない世界であるが、経験と実績を重ねることで、
地震による木造住宅倒壊の危険性をゼロに近づけることに大きく前進する。
そして2X4工法のモノコック構造の考え方は、木構造設計者として大きな安心と自信を得られること間違いない。

最初の質問にもどると、僕の答えは
「イエス」です。

f0189527_14200290.jpg
f0189527_14181840.jpg


[PR]

by kent_yano | 2018-05-15 14:19 | 住宅建築家「Y」のノート